iGEMを始めよう!必要な3つのこと
iGEM (The International Genetically Engineered Machine competition, アイジェム) は、Synbio (合成生物学) に関する、世界最大の大会です。
この大会では、世界中から、Synbioを使った、面白いプロジェクトだったり、環境問題や社会問題を解決するようなインパクトがあるプロジェクトが、多く発表されています。そしてその出身者たちは、150以上のスタートアップを設立したり、研究者になったりと、Synbioの登竜門的な大会になっています。
そんなiGEMに参加するには、どうすれば良いでしょうか。
チームを始めるために、必要なことは大きく3つです。
チームメイト、PIと実験場所、資金の3つです。
それらをiGEMのチーム登録期限である2-4月までに達成することができれば、iGEMに必ず参加できます。 あなたもこれらのことを達成し、iGEMerの仲間入りを果たしましょう!
目次
0. iGEM Japan に参加する
チームを始める前に、iGEM Japan のコミュニティに参加してみて、iGEM を行なっている方々とのつながりを持ちましょう。様々な視点からの有益な情報にすぐにアクセスできるようになるはずです。
SNS等でメッセージを送ると、すぐに紹介していただけると思います。まずは、気軽に参加してみましょう。
1. チームメイト
iGEM は 1 人で参加することはできません。 多くのチームは、十数人規模で参加していることが多いです。
しかし、チームを始める時、多くのチームメイトを集めることはとても困難です。最初は、自分の周りの友人を、2人説得することから始めましょう。 (その時に使用する資料などは、iGEM Japanの方からいただいたりすると良いです。)
チームが3人いれば、チームを始めることは十分できます。また、友人にiGEMのプレゼンを行い説得する経験は、最初の成功体験にもなりますし、今後の数多くの交渉の糧にもなります。
iGEMのチームは、必ずしも同大学や同高校である必要はありませんが、最初の2人は同コミュニティーに所属している方の方が望ましいと思います。 価値観を共有するチームメイトを集めることが、まずは最初の1歩になります。チームメイトと共に、今後の交渉を進めていくことは、1人で交渉するよりもより、熱意を感じさせることができます。
2. PI と実験室
iGEM に参加するためには、PI (実験責任者) の方が、必須です。 (高校生チームは、さらに学校長の許諾も必要になります。) 大学に所属している場合は、研究室を持つ教員の方のような存在です。他にも、研究室や実験室を持っている先生や研究者だったりが該当します。
また、iGEMでは遺伝子組み替え技術を使用して、プロジェクトを行うことが多いです。2020年現在の日本の法律では、BSL1 (P1) と呼ばれる特別な認可を受けている空間でのみ、遺伝子組み替え生物を扱うことが許可されています。そのため、そのような実験室を確保することは大変重要です。
このように、PIの方と実験室の確保については、チームを始めるときの重要なことの1つになります。 PIになっていただくような、余裕があったり、波長のあう先生を見つけることは、とても大変です。しかし、チームメイトと共に諦めず、多くの候補の方にメールを送り、一人一人真摯に対応していくことが大切です。
心が折れそうになった時には、他のiGEMチームの設立者に、気軽に相談しましょう。ここがチームを始める上で、最も困難で、重要なところになります。
3. 資金
最後に資金です。iGEM では 5500 US ドルのチーム登録費と、2500 US ドルの大会参加費が最低限必要になります。 (金額は iGEM 2020 時の情報)
資金については、チームを開始するために、必ずしも必要なわけではありませんが、あると安心できるものです。計8000 USドルを、いきなり集めることは難しいと思いますので、まずは、5500 USドルのチーム登録費の確保を目指しましょう。
5500 USドルを集めることも容易なことではないと思いますので、いくつかの例を紹介していきます。
3.0 自分たちで稼ぐ
日本は比較的豊かな国であり、短期的なアルバイトを行うことで、出場に必要な資金を集めることができます。 これが最も確実に、iGEM に出場するための資金を集める方法です。
3.1 大学や高校の基金に応募
最も安定したものです。多くの大学や高校では、このような挑戦的な活動への支援金を用意していることが多いです。 特に、自由な研究を支援するものや、起業・スタートアップ関連の支援金に応募することがおすすめです。
初年度の参加の多くのチームがこのような支援金をいただき、チームを軌道に乗せています。初年度の参加チームは、多くの方の協力が不可欠であり、所属団体からの支援は大変大きな力になるため、必ず最初に検討しましょう。
3.2 個人へのスポンサー依頼
応援してくれている方と、個人的な信頼関係が結べている場合に有効な手段になります。特に、精力的な活動を行い、熱意を伝えることができていれば、応援してくれる方も多いと思います。
たとえば、地域のイベントに参加したり、Webでの連載を行うなどが考えられます。
参考例 : 初年度の高校生は様々な活動や連載を行い、多くの個人の方から支援をいただきました。
3.2 企業へのスポンサー依頼
こちらは、企業と個人的な信頼関係が結べている場合に有効な手段になります。また、昨今の iGEM では、SDGs や社会問題に対する解決を目指すプロジェクトが増加してきており、そのような活動を積極的に支援してくださる企業も増えています。 プロジェクトの概要を固めた上で、相談に行くと、スポンサーになっていただくことができるかもしれません。
iGEMのプロジェクトでは、誰がどのようなことを貢献したかについて、明記するように勧められています。そのため、多くのチームでお世話になった企業や、個人に対して、公式ページに記載したりしてます。そのようなリターンも含めて提示することも有効かもしれません。
3.3 クラウドファンディング等の寄付
学校や企業などから、まとまったお金を得る以外にも、個人ベースのつながりから、少額ずつでも支援していただく、クラウドファンディング型の寄付などもあります。
クラウドファンディングを行うことで、資金は多くは集まらないかもしれませんが、多くのファンがついてくれることにつながります。 応援してくださる方がいることでモチベーションがアップしたり、議論することで、新しい視点が得られるかもしれません。
まとめ
iGEM に興味を持った方は、まず友人と話してみましょう。
メンバーが集まれば、あとは、PI・場所と資金について、粘り強く交渉していくだけです。 これらの交渉は長く苦しいものですが、それらの交渉の先には、自分たちの興味ある事ばかりの楽しい世界が待っています。
今後、魅力的な新しいチームが誕生することを楽しみにしております。
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