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「iGEMでGoldメダルを獲得する」- iGEM Japan 2022 定例会 (輪読会) #2


iGEMにおいてGoldメダルを取得することは、そのプロジェクトが、iGEMが求める一定基準に達していることを証明します。

Goldメダルを取得することが、必ずしもプロジェクトの良し悪しではありませんが、明示されたルールが定められているコンペティションである以上、一定のクオリティ以上であることの証明は、一つの到達点になります。

Goldメダルの基準は、iGEM運営や合成生物学者が考える、理想的な合成生物学プロジェクトの方向性と一致します。そのため、優れた生物学者になるための、有益なトレーニングになります。

本記事では、iGEMでGoldメダルを獲得するためには、どのように考え方をするのがよいのか、例を挙げながら、紹介していきます。

始めに


Goldメダルを獲得する上で、一番のTipsは、公式でしっかりと発表されている、ルールブックを読むことです。


参考 :
iGEM 2021 評価項目について - Rubric
iGEM 2021 評価項目について - Medal
iGEM 2021 Judgeの判断基準の判例を含む完全版のルール


しかし、公式が発表している情報だけではどのように計画を立案したらよいか、想定することが困難であるため、例とともに、紹介していきたいと思います。

また、Wikiやプレゼン等でプロジェクトをまとめるときは、ルールに書いてあることについて、どのように満たしているか、Judgeにうまくアピールすることを意識しましょう。
(逆に、ここに無い部分については、プロジェクト全体に深みを出すのに最もな重要な部分で無い場合、多くの時間を費やさないことが求められます。)

本記事では、日本チームを例にあげます。
各チームには、各チームの目的があり、それは必ずしもGoldメダルだけではありません。
しかし、本記事では、Goldメダルという観点からみて、どのようなことが参考になるかについて、記載します。特定チームを攻撃する意図はないことを、先に明示しておきます。


基本情報

Medal Criteria


iGEMでは、公式のMedal Criteriaが公開されています。
毎年変化する内容であるため、挑戦する年度のルールをしっかり読み、疑問点については、iGEM HQ (運営本部) にメールで確認しましょう。(しっかりと答えてくれます。)

参考 : iGEM 2021 Medal Criteria

iGEM 2020までは、Goldメダルの獲得の基準が、Goldメダル要件のうち、2つ以上の項目について、Judgeに認められる必要がありました。
しかし、iGEM 2021では、近年の参加チームのレベルの高度化に伴い、Goldメダルを獲得するためには、3つ以上のGoldメダル要件を認めてもらわないといけないように、ルールが厳しくなりました。
(iGEM 2020に、Goldメダル要件の多様化と細分化が進んだことも1つの要因です。)

そのため、3つ以上のGoldメダル要件を、Judgeに認められるようにすることが、iGEM 2022以降のGoldメダルを獲得するまでの道のりになります。

Medal Criteriaの項目


Medal Criteriaの項目について、iGEM 2021の例を参考にします。

Bronze : Competition Deliverables、Attributions、Project Description、Contribution
Silver : Engineering Success、Collaboration、Human Practices、Proposed Implementation
Gold : Integrated Human Practices、Improvement of an Existing Part、Project Modeling、Proof of Concept、Partnership、Education & Communication、Excellence in Another Area

簡単にまとめると、Bronzeメダルは、自分たちのプロジェクトを、iGEMで発表するまで仕上げ、発表することが必要です。
SIlverメダルは、iGEMの理念について理解し、それらを達成することが必要です。
Goldメダルは、iGEMの理念を、高水準で達成することが必要です。

Goldメダル獲得を目指すのであれば、自分たちのやりたいことを軸に、iGEMのGoldメダルに合わせて、プロジェクトの組み立てを行う必要があります。

Goldメダルを獲得できる確率を高めるためには、4つ以上の要件を満たすことが重要です。特に、プロジェクトを考える段階では、Improvement of an Existing Part、Project Modeling、Education & Communication、Excellence in Another Areaの4つについて、必ず検討することが望ましいです。

Goldメダルを戦略的に獲得しているチームは、上記の4つに挑戦しているチームがかなり多いです。

次の段落からは、Goldメダル要件を満たすために、どのようにプロジェクトを考えるかについて、紹介していきます。


Parts


iGEMは、特定のDNA配列に対して、機能を記載し、レゴのようにパーツとして組み合わせて使用することが、根底の思想にあります。

その思想は、メダル要件にも大きく反映されています。
BronzeのContribution、 SilverのEngineering、GoldのImprovement of an Existing Part。

これらの条件にパーツが関係してきます。
一つずつ確認していきましょう。

Contribution (Bronze)


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Add new documentation to an existing Part on that Part's Registry page:
  • This could be new information learned from literature
  • This could be new data collected from laboratory experiments

‘’’

このBronzeメダル要件では、既存パーツに対して、新しく情報を付け加えることが求められています。
いくつかの簡単な手法として、パーツを導入する系を変更する方法があります。(DH5α→BL21DE3、yeast、cell free/PURE Systemなど)

参考 :
https://2021.igem.org/Team:UTokyo/Contribution
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=UTokyo


また、新しい研究の発表などによって、パーツページに作用機序が不足している場合、それらを記載したり、比較することで、達成することができます。

参考
https://2021.igem.org/Team:Gifu/Contribution
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=Gifu

Engineering (Silver)


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For teams who can get into lab, you can design and build a new Part and show that it works as expected

“””

このSilverメダル要件では、プロジェクトに沿った、iGEMパーツには存在しない、新しい遺伝子パーツについて、性能を確かめ、登録することで、条件を満たすことができます。

文献などから参考にした場合であっても、自分たちで実験し、iGEMパーツに含まれていない場合は、こちらを満たすことができます。

参考
https://2021.igem.org/Team:UTokyo/Contribution
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=UTokyo


(※BronzeメダルとSilverメダルの要件に関しては、COVID-19の影響により、実験室へのアクセスが制限されているチームを考慮して、実験なしでも満たせるように条件が拡張されています。)

Improvement of an Existing Part (Gold)


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Make a new Part that improves the function of an existing Part. This improvement must be distinct from your work for Bronze and Silver medals.

Some things to consider when designing and showing your improvement:
• Your experiments should be done with both the improved part and the original part as a control
• The sequences of the new and existing parts must be different
• Adapting the part to a different assembly standard does not count as a functional improvement

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このGoldメダル要件では、iGEMパーツに存在するパーツに対して、それらをコントロールにした上で、なんらかしらの機能を向上させた遺伝子パーツを作成することが求められています。

この項目は、実験前には、うまくいくかどうかわからないものですが、うまくいった場合には、大きな説得力をもつものになります。

まずは、自分たちが検討している遺伝子について、それらの遺伝子の多様性 (複数の種から、少しずつ違うものが発見されているなど) を調べ、比較されていない場合は、それらを比較することで、このGoldメダル要件を達成することができます。


主な戦略としては、

  • 自分たちがメインで使用するあまり一般的ではないパーツに対して、既存のよく知られている機能を追加する
  • プロモーター・RBS周りの配列最適化を行う (研究が多数存在します)
  • タンパク質のエンジニアリング - 性能をあげる
  • Tagの導入
  • 分解性能を変化させたり、酸化・熱耐性などを持たせる



これら以外にも、性能を向上させる変異を導入するしている例はいくつもあります。各チームにあった、例を探すことを推奨します。


参考 :
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=NUDT_CHINA
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=NUS_Singapore
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=ShanghaiTech_China
https://2020.igem.org/Team:Waseda/Judging_Form

Parts まとめ


このように、Partsについて考えることは、Goldメダルを獲得する上で、重要なものになってきます。

これらのメダル要件を満たすためのPartsが、必ずしもプロジェクトの中心である必要はありません。プロジェクトの本流でなくとも、うまく絡められるようなことを、戦略的に探してくることで、Goldメダルの獲得が近づきます。


Modeling

概要


モデリングは、Goldメダルを獲得する上で、非常に重要な項目になります。

iGEM 2021では、モデリングなしにGoldメダルを獲得しているチームはほぼありません。
モデリングページが存在しないのは、Gold169チームのうち、6+1チームのみでした。

Modelページなしのチーム (6+1)は、以下の通りです。
https://2021.igem.org/Team:Open_Science_Global/Attributions (世界連合)
https://2021.igem.org/Team:UZurich
https://2021.igem.org/Team:UPenn
https://2021.igem.org/Team:Ionis_Paris
https://2021.igem.org/Team:RUBochum
https://2021.igem.org/Team:Duesseldorf
https://2021.igem.org/Team:HK_GTC (High School)


また、ハードウェア主体のチーム、Software / Deeplearningページがあったりと、プログラムを行なっていないチームはさらに少ないです。

そのような例を除き、プログラミングを行わずに、Goldメダルを獲得したのは、以下の2チームになります。
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=RUBochum
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=HK_GTC (High School)

このように、モデリングなしで、Goldメダルを獲得することは、大変困難であることがわかります。

実装・計画


Modelingは、一見、プログラミングのように見えますが、重要であるのは、微分方程式レベルの数学です。

多くのチームは、学術的に最先端のモデルを使用しているわけではなく、一般的に使用されているモデルを、自分たちのプロジェクトに合わせて、パラメータを調整しています。
実験とモデリングに慣れていない場合、パラメータの選定については、先行研究があるものを選ぶことが望ましいです。

モデリングの中でも、特によく見るものは、ミカエリス・メンテン式を少し応用したものになります。
ミカエリス・メンテン式自体は、反応産物の濃度、基質濃度、反応速度の関係について、微分方程式の形で記述した単純なものになります。

微分方程式の初歩的な理解があれば、これらのモデリングを理解することは、難しくはありません。自分たちのプロジェクトに近いチームのモデルを参考に、モデリングを検討してみましょう。

近年のiGEMでは、DBTLサイクルを意識することが、重要になりつつあります。そのため、モデリングは、プロジェクトの立案後、生物学的な実験を行う前に行うことが望ましいです。モデリングを行うことで、その後の実験に、どのように影響を与えたか、記載すると良いでしょう。(さらに、生物学的な実験を行い、その結果を元に、モデルを微調整するとなお良いです。)




参考 :
https://2021.igem.org/Team:Gifu/Model
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=Gifu

https://2021.igem.org/Team:UTokyo/Model
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=UTokyo


Education & Communication


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Develop and implement education, science communication, and/or outreach materials related to synthetic biology.

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教育やサイエンスコミュニケーション、アウトリーチに関する資料を作成し、対話することが求められています。

本サイトに、輪読会のまとめ記事を執筆することを軸に、以下のような主を行うことが可能です。

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母国語である「日本語」(≠ 英語) での、「合成生物学の資料」が、google 検索 で数百件と、とても少ないため、母国語で、合成生物学に関する正しい知識を記載し、広く一般に届ける活動を行いました。
該当記事は、1000人近くの人に、合成生物学に関する知識を届けることができました。

これらの資料を元に、50名の高校生に授業を行いました。高校生には、事前に合成生物学に関するアンケートを取得し、多くの生徒が合成生物学についての知識がないことが判明していました。授業後には、30名の生徒が合成生物学に興味を示していました。

強く興味をもった彼らを、iGEM Japan輪読会に招待しました。iGEM Japan チームと協力しながら、高校生も含めたコミュニティで、より専門的な知識を学習し、ディスカッションし、一般に公開するという活動を行っています。
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参考 : google 検索 : 「合成生物学 資料」→ヒット件数 : 100 件


このGoldメダル要件では、しっかりと資料を作成し、公開することが重要です。
実際に、授業や講義を行っていたとしても、資料を作成してiGEM上で公開し、どのように議論して知識を深めることができたかについて、詳細に記載していない場合、評価が得られないことも考えられます。

例えば、意識の変化をしっかりと確認するために、授業や講義の前と後に、アンケートをとるなどして、それらを記載することが考えられます。


参考 :
https://2021.igem.org/Team:Kyoto/Communication
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=Kyoto


Excellence in Another Area


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• The work does not have to directly relate to your project (for example, art and design, entrepreneurship, diversity and inclusion, broad synthetic biology policy, etc.)
• Your wiki documentation should demonstrate the connection to synthetic biology

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何か頑張ったことを記載しましょう。
プロジェクトに直結するが、他のメダル要件と独立したものがある場合は、それを記載すると良いでしょう。ここに記載する項目で、Special Trackを目指すことも、良い戦略であると思います。(Entrepreneurship, Hardware, Software Tool, SDGs, Measurement etc..)

このGoldメダル要件は、非常にオープンであり、Judgeの厳しさによっては、認められないこともありえます。可能であれば、複数のプロジェクトを記載することで確率を高めることができると思います。

ビジネスコンテストに出場することは、有力な候補です。
自分たちのプロジェクトが、地域の問題を解決するものである場合、社会実装を検討し、ビジネスコンテストに出場し、その考えをさらにブラッシュアップすることが考えられます。

近年では、多くの大学で、ビジネスコンテストが企画され、多くのサポートを受けることができることも考慮すると、検討する価値があると思います。

ハードウェアの作成も、有力な候補であり、実験・評価装置がない場合、自分たちで作成することも、この要件に該当します。


参考 :
https://2021.igem.org/Team:UTokyo/Excellence_Area
https://2021.igem.org/Team:UTokyo/Hardware
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=UTokyo

参考 :
オープンソースのPCR機械 - Ninja PCR / Ninja qPCR
https://ninjapcr.tori.st/ja/index.html
https://github.com/hisashin/Ninja-qPCR


Integrated Human Practices



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Demonstrate how your team responded to your human practices reflections, research, and/or engagement. You should show how your activities impacted your project purpose, design and/or execution.

• How did your Human Practices work inform and shape your project at different stages?
• How did your team choose to respond to your Silver medal work? How did your Silver medal Human Practices and Proposed Implementation inform your ethical, technical, safety and/or communication decisions?

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このGold用件は、Silver要件であるHuman Practicesをふまえた上で、どのようにプロジェクトを、問題にフィットさせていったのかについて、審査されるものになります。

このGold用件は、DBTLサイクルを満たしていることをしっかりアピールすることが、とても重要になります。
このようなことから、プロジェクトを始めた初期に、Silver要件のHuman Practicesを行い、それに応じて、本格的なプロジェクトを構築することが望ましい形になります。


参考 :
https://2021.igem.org/Team:UTokyo/Human_Practices
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=UTokyo


Proof of Concept


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Expand upon your Silver medal work for Proposed Implementation and develop a proof of concept for your project.

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このGold要件は、Silver要件であるProposed Implementationに対して、実際にどれほど実現できたかについて、審査されるものになります。

この項目が優れているチームこそ、本質的に優れたチームである、と主張するiGEMerがいるぐらい、地味に見えますが、プロジェクトの本質的な部分になります。

しかし、この項目は非常に難しく、実験的な成功はもちろんのこと、単純な実験だけでは、解決できない様々な問題を解決する必要があります。

近年のiGEMでは、より大きなテーマを主題におくチームが増えてきており、プロジェクトの完成をみることは少なくなっています。そのため、Judgeの評価も、主観に依存する確率が高くなります。


Partnership

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Collaborate throughout the year with at least one other 2021 iGEM team on a set of shared objectives related to both of your projects. This partnership should go beyond a Silver medal collaboration.

Compared to the Silver Medal Collaboration criterion, partnerships should be more central to the success of both teams' projects and teams should be working together throughout the season (not a single interaction)

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このGold要件は、Silver要件のCollaborationを超えるレベルでのチーム間の協力が必要になってきます。

この項目については、iGEM 2020から導入され、あまり前例をみることができていないため、評価を行うことは困難になります。いくつかの例をみると、チームの”メインのプロジェクト”に関して、”複数回以上”、相談して改善していったことを”示している”ことが、印象が良いように見えます。



Wiki

記載するページを意識しよう


近年のiGEMでは、評価対象になるページが明確にURLが指定されています。

https://2021.igem.org/Judging/Pages_for_Awards
(Track AwardやSpecial Awardを目指すためにとても重要になります。)

指定されたページに、何も書かれていない場合、もちろん評価されず、メダルを取得することができません。
Judging Formを確認することで、どのようなものかわかると思います。

説明を詳細にしよう


多くの日本チームは、プロジェクトについての説明、実験に関する説明、Human Practicesで得られた教訓などを記載する量が、少ないように感じます。

例えば、実験ページにおいても、プラスミドを作成した工程から、しっかり記載しているチームと、結果を一枚貼っているチームでは、与える印象が大きく変わります。

現在では、プラスミドの作成を外注することも難しくなく、自分たちで合成しているかどうかも、Wikiに記載されていない場合、Judgeが判断することは難しいです。

自分たちがやったことについて、judging handbookをしっかりと確認しながら、詳細に記載することが重要です。Wikiに、長さ制限はありません。

参考 :
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=Gifu


プロジェクトの作り方


Goldを獲得するためのプロジェクトについて、いくつかの例を紹介します。

1プロジェクト集中 (一般的) 

1つのプロジェクトに関して、1つのメインの実験を行うという方法があります。
この場合、プロジェクトを発表する時に、実験やHuman Practicesで行ったことを、矛盾なく一貫して主張しやすくなります。
一方、デメリットとしては、途中で実験の失敗が明確になったときや、最後まで実験がうまくいかなかった場合に、実験的な成果を主張することが、難しくなります。

IGEM 2021 Gifuチームは、この手法で大会に挑んでいました。実験の最も中心的なCas12aでRNAを検出する部分に関して、良い結果をえることはできていませんでした。しかし、そこまでの工程をしっかり記載し、実験的な妥当な手法で検証していることを証明し、Judgeの人をたちを説得することができ、Goldメダルを獲得することができました。

参考 :
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=Gifu

複数プロジェクト同時並行 (強豪)

複数のプロジェクトに関して、それにあった複数の実験を、同時並行で進めるという方法があります。
この場合、複数の実験を行うことで、すべての実験が失敗するリスクを軽減し、うまくいった実験を軸に、発表を行うことができます。
一方、デメリットしては、行った実験を盛り込むことがメインとなり、プロジェクト全体の一貫性を主張していくことが、難しくなります。

iGEM 2021 Kyotoチームは、この手法で大会に挑んでいました。彼らは、花という大きなテーマを軸に、それらに関連するいくつもの小テーマを設定し、複数の実験を同時に行っています。
その実験量は膨大で、小テーマ1つで他のチームと比較できるレベルのものが、4つほど記載されていました。この実験量やソフトウェアの開発もあり、Goldメダルを獲得しました。(チーム内の負担は、相当なものであったそうです。)


参考 :
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=Kyoto

iGEMのルールに合わせる (強豪)

プロジェクトのテーマと、メインの実験をそれぞれ独立させながら進める方法があります。
iGEMでは、これまでに述べたように、モデリングを行うことや、遺伝子パーツを作成することで、メダルを評価される傾向があります。

一方で、ファイナリストを目指す場合は、魅力的な問題を取り扱い、上手にプレゼンテーションを行う必要があります。
これらを同時に満たすことは、大変困難であるため、思い切って、それらをそれぞれ最適化しようというものです。
この手法は、あまりおすすめできるものではありませんが、iGEMとして評価されているため、知っておくことは重要であると思います。

iGEM 2021 Top10にも入った、iGEM 2021 Ecuadorは、この手法で大会に挑んでいました。
彼らは、メインのプロジェクトとして、バナナに使用するRNAiベースの生物農薬についての開発を掲げました。実際に、それらのRNAiについては、パーツの設計を行うことまでしか達成できず、実験を行うことはできませんでした。しかし、iGEMでも広く使用されている、QS (quorum sensing) に関する実験を行い、実験とモデリングの基準を満たしました。

このような方法で、Goldメダル要件を満たしてくことも、場合によっては検討の余地があります。


参考 :
https://igem.org/2021_Judging_Form?team=Ecuador


その他

本記事では、Goldメダルのみについて、取り扱いましたが、FinalistやTop10になるためにも、考慮するべきポイントはたくさんあります。

iGEMで、Goldメダルを獲得することは、1つの到達点になりますが、世界では、Track AwardやSpecial Award、そしてGrand Prizeを目指す戦いが繰り広げられています。そのような戦いにおいて、Goldは、足切りラインでしかありません。

iGEM 2021年には、Grand Prizeにつながる、Track AwardへのNomination 30チーム以上 (undergrad カテゴリーのみ) の中に、日本チームは1チームも含まれていません。

Medals Section、Project Section (Track AwardとGrand Prize)、Special Prizes Section (Special Award)は、評価基準が独立して存在しています。Medals Sectionをしっかりクリアして足切りを突破し、その他の項目で戦える興味深いプロジェクトに注力することを目指しましょう。

Project SectionとSpecial Prizes Sectionに関する評価は、後日チームに伝達されます。それらのフィードバックを参考にすることが、重要になります。
iGEM 2020 Wasedaチーム (Track Award受賞、Special Award (Education) Nomination) は、後日そのフィードバックをwikiに公開しています。Grand Prizeを目指すための参考にしましょう。

日本チームが、Goldメダル要件をパスし、FinalistやTop10で争うレベルに成長することを期待しています。


参考 : https://2020.igem.org/Team:Waseda/Feedback 


まとめ


iGEMは、多様なプロジェクトが評価される大会ではありますが、ある程度の型に沿ってプロジェクトを行うことで、評価を受けやすくなります。

Goldメダルを獲得する上では、DBTLサイクルを意識し、Human Practiceからプロジェクトを始め、モデリングを行い、既存パーツと比較することを実験することを、おすすめします。

日本チームには、Goldメダルの基準をクリアし、FinalistやTop10の戦いに挑戦してくれることを期待しています。

本記事が、皆さんのGoldメダル獲得に向けて、参考になれば幸いです。